言葉

 言葉を丁寧にみると、たまにハッとするような発見があります。最近考えたのは「こだわり」ということ。

 こだわるという言葉は入念に力がそそがれたという意味合いもあるかと思いますが、必要以上に気にするというところでも使われます。

 相談のなかでこだわるという話しがでるとだいたいがネガティブな意味、困りで用いられたりします。一方で、雑談の最中ででてくると、ポジティブな意味合いが強いかなという気がします。

 相談で聞くこだわりというのは、ある意味「とらわれ」と言い換えられるのではないかと思うんです。これは僕のなかでの解釈ですが、こだわりというのはいくらやっても悪いものではないと思っています。突き詰めるためにやっていることで。ただ、日常で「こだわり」から苦しいが生まれ、その先にも苦しいしかなく夢も希望もないと思うのなら、それはもう「とらわれ」なのだろうと思うのです。

 強迫性障害の場合、本人はばかばかしいと思いながらもやらずにはいられない。そして、疲弊するという傾向がみられます。そういったところからも、「こだわり」と「とらわれ」は言葉としてすみ分けてもいいのかなと思います。

 ハマるという言葉はどちらにも言えそうですね。悪い事でも、良い事でもハマる。悪い意味でハマれば、しんどい、徒労感、疲弊、苦しい、やめたいであるだろうし、良い意味であれば、楽しい、充実、活力、生活に張りが出る、達成感、といったいろんな言葉に出会えるのではないでしょうか。

 また、ここが大事だと思うのは、「こだること」を望んでやっているのか、縛られているのかという認識。自由なのか、不自由なのか。ひとつのことをやり続ける、し続けるという状態が、自分がどういう心持でやっているのかということ。

 文章のはじめのこだわりの意味の説明で、「必要以上に気にすること」と僕は言いましたが、その「必要以上」の状態というのが、とらわれの言葉で生まれる疲弊感といった体験なのかなという気がします。意外に感覚的に言葉を使っていますが、その感覚的に使っている言葉を具体的にしたとき、見え方が少し広がるような気がします。

 言葉の分類が明確になることで、困っている人が何を伝えたいのかがよりわかることがあります。僕は今まで雑に言葉を使ってきて、語彙力が豊富でないことを後悔もしますが、今は発見できて楽しいと思ったりもするのでプラマイ0くらいでしょうか(笑)むしろ、発見できたときの喜びみたいなものは大きいのでプラスかもしれません。

 語彙力があってもそこでフィットする言葉を結びつける力とは別なのかと、ふと思ったりしましたが、そのことはあまり掘り下げずこのへんで終了。