アウトリーチについて

先日某番組で話題になったアウトリーチ(訪問支援)ということについて簡単に書きます。
うちの活動でも訪問活動はやっているので。
これはアウトリーチの基本中の基本ですが、必ず本人の許可を取ることが大切です。
これなくして家にあがるアウトリーチは全国的に見ても考えられないです。
理由ですが、家というのは本人にとっての最後の砦です。
安全な場を保障しないといけません。
強引にあがれば、いつ何時また乗り込んでくるかわからないという不安がそこでついて回ります。
時期や時間によって、本人の不安もかわります。
不安が強くなる時期もあるでしょう。
不安が強くなった時に、「もしかすると家にまた乗り込んでくるかもしれない」ということが頭にあるのはとても危険な状態です。
こうなると社会に出る出ないの話ではなく、生きるか死ぬかという次元の話になります。
一方で、家への侵入を許した家族にも怒りや不満がむくことが考えられます。
今以上に状況が悪くなることは言うまでもないでしょう。
それだけではなく、本人が何年かして本当に困った状態になったとします。
たとえば親が倒れた、亡くなってしまった。
その時に、支援者に連絡しようと思っても「過去に嫌な体験をさせた存在」として連絡ができなくなることも考えられます。
むしろ、支援者というものを信じて連絡をしようと何十年ぶりに他人に連絡をとるとは考えにくいです。
支援する人は自分が正しい、安全だから大丈夫と思っているかもしれません。
それは相手にわからないし、本人は不安なんです。
身の危険さえ感じているかもしれません。
まずやるべきことは、自分がいかに安全な人間か相手に示すことなんだと思います。
そして信じてもらうというのが支援のスタートなんだと思います。



アウトリーチをするのにはまず本人の許可が必要。
そして、家は安全な場であることを支援者は保障しないといけない。
これは支援者の義務くらいに思っています。
その番組で本人の許可をとっているかどうか定かではありません。
ただ、家が安全な場であるという保障を果たしているのか疑問でした。
すくなからずアウトリーチの原則というのはそういうものだと僕は理解してます。
その支援をしている団体さんも、本人や家族を何とかしたいと思っての行動なのかもしれない。
しかし、一歩間違えれば、支援者がその人の、家族の人生にとどめをさしてしまうということは忘れてはいけないのでしょう。
僕も他人事ではありません。
この仕事をしている以上忘れてはいけないと、強く感じました。